こんな「報道」がヤマトで多数に受け入れられるのだとすれば、あるいはこんな番組を垂れ流すことを許す声が多いのだとすれば、もう沖縄は独立しかない。そう思わせたのが、1月2日に放送された東京メトロポリタンテレビジョン(MXテレビ)の番組「ニュース女子」です。まずは低劣・卑劣・愚劣なそのレベルをご覧あれ。(沖縄関係は前半21分くらい)
ニュース女子 沖縄・高江ヘリパッド問題の”いま”手っ取り早く概要を知りたい方には、私が音声(前半、辺野古高江の取材部分)だけを「テープ起こし」したのでお読み下さい。
マスコミが報道しない真実この話を知人にしていたら、「何にも知らない人が見たり聞いたりしたら、そうなのかと思ってしまうだろうね」と語っていたのが印象に残りました。
さてこの番組は、形だけの現地取材(現場には行っていない)を経て、スタジオで若い女性たちが質問し、「識者」とおぼしき人物たちが答えたり話し合うという形式をとっています。
沖縄をこき下ろし、愚弄し、からかい、嘲る、いたぶるという内容で、その土台にあるのはすべて「ウソとデマ」。下劣を通り越して醜悪な番組というのが私の印象です。
取材部分だけを取り上げてみましょう。
まず「反対派」をどう見ているのかが次第にわかってきます。
@彼らはどこかの団体に雇われている人物である。
A彼らは定年を過ぎたシルバー部隊。
B彼らは過激・暴力集団であり、テロリストである。
C何万円かの報酬をもらって反対運動をやっている。
では、なぜ彼らはそのような活動ができるのか。なぜ警察は取り締まらないのか。
@沖縄のマスコミが彼らを平和を守る人間たちと見做している。
A警察のトップは翁長知事である。
映像でそこを過ぎると米軍基地であり、トンネルの先が高江ヘリパッド建設現場と取材者がのたまう二見トンネルは、私自身数え切れないほど通ったトンネルです。その先が米軍基地だというナレーションも、その先がヘリパッド建設現場だというテロップも、全部ウソ。この先に無法地帯が広がっているのですか?? 現地の人なら「バッカじゃない!」って叫ぶでしょうね。下の地図をみてください。
お分かりですね。たとえば、我が家の前の道で、この先が東京です、というようなもの。東京が極端なら甲府です、というくらいのもの。そりゃまあ、我が家の前の道、青森までも続いていますよね。
高江までは実際には45キロくらい離れていますから、車で約50分かかります。二見トンネルは二見バイパスともいい、機動隊もいなければ、ほとんど人気のない単なるトンネルです。
2つ目のトンネルを出ると大浦湾に出て、そこからカヌチャリゾートを右に見て、途中オスプレイが墜ちた安部の集落を経て、あとはずっと北上。高江は相当に遠いのです。
二見トンネルを出て大浦湾が見える辺りに、空家が1軒、その横は空き地で、売りに出ていましたから、一昨年不動産屋に問い合わせたことがあるのです。記録もちゃんと残っています(2015年7月12日の記事)。
へんぴなところで、その先には基地のキの字も出てこない場所にもかかわらず、この先がヘリパッド建設現場だなどと言うのですから、お笑いです。
むしろトンネルの手前がキャンプシュワブですから、事実を全くあべこべに描いている。沖縄名護市周辺の人ならそのウソは一瞬で見抜くでしょう。それでも信じられないというのなら、一度でいいからこの場へ行ってみるとよろしい。
「高江から帰ってきた機動隊」などというテロップもウソっぽい。高江から帰るのならカヌチャに行くはず。むしろ、カヌチャから辺野古に向かう機動隊とみたほうがいい。
取材にあたった井上某は、わざとらしく「いました、いました」と抗議行動に参加する人たちを「連中」といい、その人たちを指して意味ありげに、「襲撃してくる」などとおっしゃる。では襲撃してくる現場を撮影してくれと私などは思うのですが、そんなことが出来るわけもありません。
沖縄にもいろんな人がいますから、この映像のようにトンチンカンなことをしゃべる人もいる。先に出てきたトンネルから先には現地の人も近づけないかのように描くこの馬鹿馬鹿しさったらありませんね。
警察が取り締まらない??これまたどこから聞いた戯言でしょうか。30人くらいの座り込みに機動隊100人も200人も配備されてごぼう抜きをやり、車両規制をして車を止め、果てはダンプを前後で護衛して米軍に奉仕。これって取り締まりじゃないんですかね。それとも機動隊は、無法暴力高齢者を野放しにしているとでもこのお方は信じているのでしょうか。だとしたら完全にイカレている。
シルバー部隊という言い方が出てきました。高江でも「そのように言われているのよ」と聞いたことがありましたっけ。それは一面当たっているのですが、なぜそうなのかは彼らにはわからないでしょうね。恐ろしい高齢者?の集まりとしか見えない。沖縄戦とその後の米軍統治下の沖縄を肌身を通して知っている方たちだという認識はゼロでしょう。高齢の女性たちも多い。彼女らは、戦争の惨めさ、恐ろしさを知っているだけに、米軍基地強化に戦争の臭いを敏感にかぎ取っているのです。
まじめに歴史を学べば、仮に若い世代であったとしても分別はつくはずであるのに、このテレビに映された方々にはその想像力は余りに乏しくてかすりもしないらしい。
ひまなお年寄りが退屈しのぎに稼いでいると言う程度にしか見えないとしたら何と悲しいオツムなのでしょう。若い世代も沢山現地に集まっていますが、年代からいえば高齢者が多いのは事実でしょう。それを、現役で働いている人たちにそっぽを向かれているとでもこの方々は思っているのだろうか。辺野古には大学生たちもよく来ていました。
高江がどこにあり、誰がどのように集まっているのかをまるで知らず、年配者が多く集結していることを笑いものにする彼らの感覚ときたら貧困すぎて批評する気にもならない。
さて、座り込みに参加する人たちを過激暴力集団であり、テロリストと言ってもいいというこの番組の方々は、やはりウソと知って垂れ流しているのか、一部分を切り取ってそれが全てであるかのように言っているかのいずれかでしょう。
私の知る限り、これほど整然と抗議活動が行われているところはありません。非暴力と無抵抗とは違います。抵抗し続ける。座り込んだら動かない。機動隊に排除されれば、機動隊に暴力をふるったりは絶対にしませんが、言われるままにはならないということです。
中には、機動隊にくってかかる人もいないわけではない。それでもぎりぎりのところで我慢しているのです。
なぜマスコミは現場を報道しないのか、というある女性の質問に、あるときは、報道陣が入れないような状態だからだと答え、あるときは沖縄のマスコミは彼らを平和愛好者とみなして報道しないからだと答える。これもウソ。
これほど現場の模様が写真で写されたり、映像で流されたりしているところはないでしょう。どの報道機関も現場まで足を運んで取材しているのです。ネットを調べればそんな映像はいくらでも出てくる。報道陣がシャットアウトされているという証拠や、抗議している人たちがテロリストなどという証拠があったら見せてほしいものです。
このテロリストという言い方は、石破の発言と重なるものですね。抗議する人たちを、何としても誰かに雇われたテロ集団だと描きたい番組であることをはしなくも暴露してしまいました。
高江には、集中抗議行動の日には沖縄全県から200人〜300人集まります。ときには2000人規模の集会が開かれることもありました。沖縄にはずいぶん沢山の雇われテロリストがいることになります。翁長知事を先頭にして抗議する人はすべてテロリストの仲間になっちゃうんですね。
聞き捨てならないのは、この座り込みに韓国や中国などから得体の知れない人たちが集結しているかのように描いていること。番組を進めれば進めるほど化けの皮がはがれてくるのですが、それでもお構いなしに彼らが雇われて来ていることにしないと収まらないらしい。ここまで来ると、この番組は沖縄ヘイト、韓国ヘイトの先兵の役割を果たしていることがわかります。
本土から沖縄まで、仲間のカンパで支援活動に行く人たちもいるでしょう。私のようにすべて自費で行く人だって沢山いる。県内の人たちの活動を支援するために、全国から数億円の募金が寄せられたんです。そうしたことを全く視野の外において、雇われ集団だと思い込みたい人たちこそ、雇われヘイトスピーカーではありませんか。この番組に手弁当で出ているのですか。取材をすべて自費で行っているのですか。
岸なんとかさんも「こういう無法地帯に年間3000億円沖縄振興費が流れているわけですよね。これが結構いかがわしい用途に使われている」と、堂々とみてきたようなウソをおっしゃっている。本当にイカレていますね。もう救いようがないかんじ。
この番組については、ネット上でも批判は数多く書かれているし、今日発売のAERA(62、63ページ)で厳しく批判しています。例えばこのような
サイト。こんなもんじゃ、全く足りない。
沖縄差別、人種差別が地上波テレビを使って堂々と放送されるこの異常を全力で正さなければなりません。沖縄の辺野古や高江の抗議活動に批判はあってもいい、しかし事実に基づき、現地をよく見聞きし、多面的にその問題を追求する姿勢がなければ報道機関やそれに出演する「識者」としては完全に失格です。この番組に顔を連ねた方々は、もはや言い逃れは絶対にできないことを思い知るべきです。