誤った現状認識 米に浸透 メア氏発言

米アメリカン大学の学生らが作成したメア米国務省日本部長の発言録の一部。「沖縄の人は怠惰でゴーヤーも栽培できない」などとある

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2011年3月7日 09時47分この記事をつぶやくこのエントリーを含むはてなブックマークLivedoorクリップに投稿deliciousに投稿Yahoo!ブックマークに登録
(36時間5分前に更新)

 つい先日公開された日本の外交文書に記述されていた元米国民政府幹部の発言(1967年)として「沖縄人は三枚舌―対米、対日及び自ら同士で―を使う」などと記述されている。

 先日、都内で取材した在日米軍の幹部は、米本土で誘致運動が起きるほどの米軍基地が「沖縄で受け入れられていないのは不思議だ」と述べ、米軍基地の経済効果を強調した。基地関係収入は今や沖縄県のGDP(県内総生産)の5%程度にすぎないなどと指摘すると「本当にそんなものなの?」と肩をすくめた。

 6日明らかになったメア氏の発言を聞くと、現状を無視した間違った認識が約半世紀にわたり全く変わっておらず、むしろ文民にまで広がっていることに驚き、怒りを通り越してあきれてしまう。つまり、基地を置く米国が常に「恩恵を施す」側であり、その意に従わない日本や沖縄が“ごねている”という発想だ。

 本来、他国に基地を「置かせてもらっている」異常な現状認識に欠けている。メア氏は沖縄総領事として駐在している間に県内で何を見聞きしてきたのかと思わざるを得ない。

 「(住宅地に近い)福岡空港や伊丹空港だって同じように危険だ」との発言に至っては、普天間飛行場の危険性を棚に上げた内政干渉そのものだ。事実とすれば日本政府としても何らかの対応をとる必要があるほどの問題発言だろう。

 普天間移設について、米政府は基本的に日本と沖縄との間の国内問題であり、移設が進展しないことで日本政府にいらだちを募らせている、と大手メディアでは繰り返し伝えられてきた。しかし今回の発言で、米側の基本認識そのものが最大の障害であることがはっきりした。沖縄と同様に侮辱された日本政府にもまた米国への毅然(きぜん)とした対応が求められる。(政経部・前田高敬)

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