メア氏、9条盾に米軍駐留を正当化

2011年3月8日 09時35分この記事をつぶやくこのエントリーを含むはてなブックマークLivedoorクリップに投稿deliciousに投稿Yahoo!ブックマークに登録
(12時間23分前に更新)

 米国務省のケビン・メア日本部長が昨年末、米大学生らに「沖縄はごまかしの名人で怠惰」と発言した講義で、憲法9条にも言及し「もし改憲されていたら、米国の国益を増進するために、日本の土地を使うことができなくなっていた」と述べていたことが7日、分かった。憲法9条を盾に米軍の駐留を正当化し、米国の国益を最優先させようとする米外交実務担当者の主張は波紋を広げそうだ。一方、県議会(高嶺善伸議長)と那覇市議会(金城徹議長)は同日、メア氏が県民に差別的な発言をしたとして、抗議する方針を決めた。いずれも8日の本会議で抗議文を全会一致で可決する見通し。

 沖縄タイムスは講義を聴いた複数の学生がメモを基に作成した「発言録」(A4判3ページ)を入手した。

 発言録によると、メア氏は、在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)を「米国にとって有益」と評価し、「われわれは日本で、非常に得な取引(グッド・ディール)をしている」と話していた。

 憲法9条については「もし日本が改憲するなら、日本は(在日)米軍を必要としなくなり、米国にとっては悪い事態になる」と懸念を示している。

 過去に改憲されていれば、日本が集団的自衛権を行使するようになっていたと示唆し、「日本政府が現在支出している高額のホストネーションサポート(思いやり予算)が米国に有益だ」と述べた。自衛隊についても触れ、「米軍と異なるメンタリティーを持っている。米軍は実際の派兵に備えて訓練しているが、自衛隊はそうではない」と説明。米軍の夜間訓練については「地元の住民は反対するが、現代の戦争は夜間に行うことが多い。夜間訓練は抑止力を維持するのに重要だ」とした。

 沖縄の「怠惰」については、「離婚率と出生率(特に婚外子)が最も高く、アルコール度数の高い酒を飲む文化があり、飲酒運転の比率も高い」と学生に説明していた。

 県議会の抗議決議は「発言が事実なら県民の願いと民意をまったく無視して愚弄するもので、到底容認できない。強く抗議し、発言の撤回と県民への謝罪を強く要求する」との趣旨。メア氏のほかクリントン米国務長官、ルース駐日米国大使宛てに送付する。

 10日に新たな沖縄振興に関する要請で上京する県議団に抗議文を託し、県議団が東京の駐日米国大使館を訪れて手渡すことを検討している。

「米国政府は沖縄に敬意」米大使館

 【東京】在日米大使館は7日、米国務省のメア日本部長(前沖縄総領事)が沖縄について「ゆすりの名人」などと発言したことを受け、「ある米国政府関係者が日本および沖縄に対し、議論を呼ぶような発言をする報道は承知しているが、これは米国政府の見解をまったく反映していない」との声明を発表した。「米国政府は沖縄とその人々に非常に深い敬意を持っている。米国と沖縄は深く、長く、幅広い関係を享受している」としている。

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