一昨日から雪。大町では20センチほど積もっていましたが、池田は例によって2,3センチだけ。昼頃には道路は乾燥していました。雲が多いと寒さはそれほどでもないので、室内では沢山着込んで暖房なしでも何とかしのげます。
今日高文研からきた新書案内メールには次の一文が添えられていました。
(北朝鮮の金正日死去の報道について)ただ、大手マスコミの報道にしても、一部の国会議員にしても「有事」ありきの論調に相変わらず呆れてしまいます。
北朝鮮の今後も確かに気になりますが、先日の福島第一原発「収束」という頓珍漢な首相の宣言や、普天間問題に対する一連の問題がうやむやにされてしまいました。
この隣国のニュースにこれ幸いとほくそ笑む政府の横っ面をはたいてやりたい心境です。
全くその通りですね。
普天間問題といえば、元琉球新報社長の高嶺朝一さんが雑誌世界1月号で、あるアメリカの識者の書いた小論を紹介しています。
その識者とは、マイク・モチヅキさん(ジョージワシントン大学副学長)、マイケル・オハンロンさん(ブルッキングス研究所上級研究員)で、小論とは2人の共同執筆でCNNウエブサイトに特別寄稿された一文を指します。
その要点は「沖縄の世論の動向から言っても、現在米国内で緊縮財政の流れが加速していることから言っても、海兵隊の移転先をグアムではなく米西海岸の既設基地に移すべきだ」というものです。
Keeping 5,000 to 10,000 Marines on Okinawa while relocating the rest makes the most strategic sense. Right now, Japanese and American officials in Tokyo and Washington agree; and they have a plan to relocate about 8,000 of the Marines to Guam in the coming years. But a better approach would be to bring those Marines home to California where the inevitable downsizing of the broader U.S. Marine Corps will create space for them at existing bases.
これを紹介した高嶺さんは、11月7日付け琉球新報社説を引用して、この小論の意義を強調しています。
野田佳彦首相や関係閣僚はこの論文を読むべきだ。外務・防衛官僚ら『安保マフィア』の振り付け通りの『思考停止』から脱し、こうした合理的思考を取り戻してもらいたい
本当にそう思いますね。
さて、話は全く変わります。寒さで家にこもっていることが多くなったので、いくつか本も読む時間が取れました。といっても相変わらず文学とはほど遠いヤツばかりですけど・・・。
まず、「もったいない学会」会長の「石油ピークが来た」(日刊工業新聞社)を読んだあと、いまワールドウオッチ研究所前所長のレスターブラウンさんの書いた「プランB4.0」(ワールドウオッチ・ジャパン)を読んでいます。どちらもとても怖い本です。
最近あることを考えるようになっていたのですが、これらの本を読みながらいよいよその感を強くしました。それは、レスター・ブラウンさんが言う「次世代の人々への誠実さ」ということです。
つまり私たちは、未来の世代の人たちの使うべき資源を先食いし、食い尽くしているのではないのか。これほどまでに過酷な状況を作り出して、我々に続く世代に何を残すのかという問題意識です。それも100年後、200年後ではない。10年、20年先のことなのですね。
レスター・ブラウンさんは相当前から、地球環境、とりわけ水資源の枯渇と土壌喪失による食糧問題、それと密接にかかわっている地球温暖化問題、さらには発展途上国での人口問題にとりくんで、毎年「State of the World 地球白書」を世に問うてきました。
そのレスター・ブラウンさんは「プランB」の中で、このまま推移すれば(プランA)、人口増加、地下水の枯渇、氷河の消滅、温暖化の加速、資源の浪費などが限界点を超えるのは時間の問題だろうし、すでに地球上のあらゆるところでそれは現実に進行している。その結果、近い将来私たちは世界的な食料の不足に陥って恐るべき事態(人類文明の崩壊)に遭遇せざるをえないだろうと警告。もちろんいま、プランBに移行すれば希望はあると、様々な実践例を挙げて私たちに方向を示唆しています。それらを例証し方向を指し示す口調は鋭く説得力があります。
これを読みながら、私は次のようなことを考えてしまいます。いま、この瞬間の私たちの生活は100年後のことを確かに考えていない。石油があと数十年でなくなると言われても、それでも無尽蔵にあるように石油を掘り出し続け、石炭を掘り、あらゆる鉱物を掘り尽くそうとしている。温暖化物質を出し続け、エネルギーを浪費し、「グリーンランド、西南極の氷床の融解で、2100年までの海面上昇は0.8〜2メートル」になろうと、それは未来の問題だとして解決を先送りしている。
世界中でそれらとたたかっているではないかという反論もあろうかと思いますが、こと日本の動きを見ている限り、まるでその気配は感じられない。その良い例が自公民などのTPPと原発への対応です。ものごとを世界レベルで見ることも考えることもできず、ただアメリカの言うままに「思考停止」状態になっている現状では、効果的な解決の道は見えるはずもありません。
だとすれば、以前にも書いたように、下から地方からそれを変えていくしかないのです。それも都会ではなく農村から。大きな自治体ではなく池田町のような小さな自治体から。つまり食料を生産し、エネルギーを生み出し、水を供給できる農山村の力をつけ、問題意識を広げるしかないのではないか。もっとも、そのような問題意識を持たずに情勢に流されていけば、農村にも未来はありませんけれど。
現在日本の農山漁村は都会に従属したり、身売りすることによってしか生き残れていない。それを逆転すべきなのです。その道筋をこれから考え抜いていかなければいけない時代なのだと・・・レスター・ブラウンさんに教えてもらったような気がします。