最近の私としては決して安い本ではないのですが、どうしても読んでおかなければならないものというのはあるもので、意を決して注文したのでした。(もう一つ、「新しい東アジアの近現代史」(日本・中国・韓国3国協同編集)も注文してしまった)
まだ届いたばかりなので、これは冬の読み物としてゆっくり読んでいくつもり。
その前に、平凡社から出ている新書版「自殺する種子」(安田節子著)を布団の中で寝ながら読みました。2009年4月の発刊ですからもう4年も前の本。我が認識不足を恥じつつ、内容に戦慄を覚えながら、一方で私と妻が家庭菜園程度にやっている畑のことを頭に描きながら読んだのでした。(寝て読むと鼻水が出ない)
圧巻は第3章、第4章。第3章では遺伝子組み換え技術をテコに、種子で世界の食を支配しようとする巨大バイオ企業の戦略を余すところなく描き出しています。とくに、第2世代の種子が発芽しないような遺伝情報を組み込むターミネーター技術によって、種子企業から永久に種子を買い続けなければならない仕組みを作り出し、それらの作物で花粉汚染されても特許侵害として裁判に持ち込むという恐怖の実態が次々と明らかにされています。このターミネーター技術で世界制覇をもくろむのが先にも紹介した米モンサント社です。
モンサント、シンジェンタ、バイエル、デュポンなどのアグロバイオ企業が世界の種子会社を次々と買収し、「従来の種会社の持っていた種子の流通経路、販売網、市場ノウハウなどをそっくり彼らアグロバイオ企業のものとした」と書かれています。
第4章では、世界バイオ企業の世界戦略として、遺伝子組み換え技術、クローンに関する特許をとりまくって植物の遺伝子情報を囲い込み、独占しようとし、自然界の遺伝子資源を汚染していく様子が描かれています。これも怖い話ばかり。
後半では、日本の農業が近代的大規模農業は破綻に瀕しており、ピークオイルがそれを加速していること、有機農業を中心とした持続可能な農業への転換にしか未来がないことが説得的に展開されています。
「人類は、これまでの経済システムや価値観とは異なる道へ踏み出すべき転換点に立っている」という著者の指摘は、TPP参加に踏み出して自国の食料主権を放棄しようとする売国的な動きが強まっているときだけに、単なる問題提起以上の意味を持っていると思えました。
1971年に日本有機農業研究会が設立されています、その設立趣意書には「このままに推移すれば・・・遠からず人間生存の危機の到来を思わざるを得ない」という一文が書かれていることが紹介されていました。今から40年も前にこのように宣言されていたと知れば、その先見の明に驚くしかありません。
私たちが町なかで作り出したいと願っている買い物の場というのは、スーパーのように単に買い物ができればいいというところではありません。こうした世界の食糧事情、日本の食の安全、人類存亡にかかわる食料の生産と消費という問題と深いところで結びつき、それを生産点、生活点で考え実践しようという試みに他ならない。これからの活動に新しい視点からの勇気をもらったと思う一冊でした。
今日は、午後から「町なか再生問題を考える懇談会」メンバーと池田町町議会議員との懇談会に出席しました。これは議会に申し入れてほどなく実現したものでした。
議員は12名中11名の出席、よく出席していただいたと感謝することしきり。私たちのメンバーも代表・事務局を含め20数名。なかなかの顔ぶれでした。このような懇談会が開かれるのは池田町でもおそらく例のないことではないでしょうか。
「町なか懇」のメンバーが次々と説明する「社会資本総合整備事業計画」の問題点に、議員のみなさんも圧倒されたのか熱心にメモをとる姿も多く、さながら勉強会という雰囲気でした。
それにしても、町から議員に対しての説明がこれまでわずか30分程度というのは驚きでした。町民から選ばれた議員ですから、今後ともそれぞれの責任において町から情報の提供を求めたり、自ら調べたり、支持者のみなさんとの懇談から意見を聴取したり、もっと町政の課題について追求する姿勢を求めたいと願わずにはいられません。
3時間におよぶ懇談会でしたが、ある議員から「みなさんの方がよく勉強もし、情報も得ている」と発言があったように、単にそれぞれの思いを伝えお願いするというような場にはならず、この計画の何が問題であり、議員にどのような方向での努力を期待するのかを明確に伝えたという意味において、きわめて積極的な意義があったと思われます。議員からは、今後もこのような場をもっていきたいというような趣旨の発言もありました。今月中旬の議会にこれがどうつながっていくのか注目されます。
なお、今日の議員からの報告では、町のパブリックコメントの締め切りが4日から8日に延期され、さらに第4回策定委員会で検討されること、また、審議も4月にずれ込むのではないかという見通しであることなどが示されました。。