政府が辺野古沿岸の公有水面の埋め立て承認を沖縄県に申請したと報じられました。
今日の記者会見で菅官房長官は「約束したことを守っていく」と延べ、アメリカとの「約束」は守るが、沖縄県の反対は無視するという屈辱的な姿勢で終始。
あらためて沖縄の全自治体首長・議長が連名で政府に提出した
建白書(および署名}を読み直してほしいと思います。
一読して分かるように、オスプレイの配備をやめることと普天間基地の県内移設反対とその撤去を求めているだけです。何と控えめな要求でしょうか。嘉手納基地、その他の基地撤去を申し出ているわけではないのです。
県民のこれほどまでの願望を見事に踏みにじって痛痒すら感じない政権ですから、世界から相手にもされず孤立するのも無理はありません。この構図では、沖縄県民はやがて全基地撤去に向かわざるを得なくなるでしょう。
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町の「社会資本総合整備計画」についての署名活動を始めて今日で20日ほどが経過しました。
今日の正午現在で、寄せられた署名は2100名余。29日に第2次分を提出する予定にしていますが、おそらく2500名近くに上るのではないかと思われます。
一軒一軒を訪問し、趣旨を説明し意見を聞きながら署名を集めるという気の遠くなるような活動を1ヶ月近くも続けてきたわけですから、町の計画が町民にどう受け止められ、どのように評価されているのかを一番骨身にしみて理解しているのは私たちです。
町は「説明不十分」を理由として1年延期を打ち出したのですが、これが全く民意に添っていないことは先日も指摘した通りです。
なぜこんなことが起こっているのか。これも先日触れた通りですが、あらためて確認しておきましょう。
それは第1に、町が町民の意見を多様に聞くことなく無理にも計画をすすめようとしているからです。
町長も職員にも町民の声が聞こえていない。とくに新しいハコモノへの抵抗感が根強いのに何も答えてはいない。
第2は、にもかかわらず、コンサルタント会社丸投げとか、当て職による策定委員会の設置とかでいい加減なやり方で押し通そうとしていること。これでは町民の意思が明らかになるにつれて矛盾を深めざるをえません。説明したから計画を進められるという性格のものではないということを知るべきです。
第3は、この期に及んでも、買い物の場をどうつくるかについて町としての対応を示し得ないこと。この点では町政へのぬぐいがたい不信感が蓄積されています。
事態がここまでくれば、新年度にあたって全く新しい計画と進め方が検討されてしかるべきです。私自身、どのように庁内での検討がすすんでいるのかを注視してきました。
そうこうするうちに、
昨日の市民タイムスに次のような記事が載ったのです。21日に開かれた第4回策定委員会についての記事です。
要点は、@策定委員会の設置要綱を改訂して委員会を延長する。A3人程度の公募委員を入れ、25人以内の委員による新体制とする。B町は、4月中に町民に計画内容を説明する場を設ける、というもの。
具体的にどのような議論があったのかは今はわかりませんが、この記事から推測するに、策定委員会のあり方については「公募委員を含め1年延長する」ということ以外に何ら新しい提案も議論もなされなかったのではないかと思われました。
記事では「仕切り直し」と書いていましたが、実情は単なる延期にすぎません。これでは委員個々の意思にかかわらず、この策定委員会は単に町の下請け機関として位置づけられているに過ぎず、「町づくりに対して果たすべき役割と責任」という意味で、全く不十分な組織であると言わざるをえません。「策定」の名が泣いてしまいます。このようなやり方を続けている限り、永久に町民の期待に応える事業など出来っこないでしょう。
ではどうすればいいのか。先日書いたこととかなり重複するところもありますが、改めて私なりの考え方を示してみたいと思います。
まず、町が現在までの計画について内容が町民の期待とは大きくずれていることを認め、
新しい改定素案を提示すべきだということです。
「説明不足だった」では通らないことはこれまでも繰り返し指摘しました。新しい提案には少なくとも、@買い物の場の創出についての町の考え方と方策を示す、A交流センターの規模の縮小、B既存の施設への対応、C道路整備の見直し、D体育館の耐震化だけではなく防災基地としての視点、などを最低限含むべきです。4月一杯は庁内でじっくりと検討を深めてほしいものです。その上で、町民説明会・意見交換会をできる限りこまめに行うことです。
付言すれば、買い物の場を含めた計画にするならば、「社会資本総合整備計画」などというわかりにくい名称ではなく、「まちなか整備計画」とでもしたらどうでしょうか。
もちろんこの段階では町の素案であって原案にもなっていません。交付金を前提とするわけでもありません。議論の出発点の提案とする必要があります。
次に、策定委員会の問題です。
公募委員を3人程度入れたから町民の意見がそこに反映されるなど考えるなら、大きな間違いです。
策定委員会を真に計画原案を「策定する」機関にふさわしいものに改める必要があります。
つまり、
町づくりの計画立案を担う責任と権限が求められるということです。町の計画に意見を言うだけの軽いものでは、現在の困難なさまざまな課題に何ら積極的な方針を生み出すことはできないでしょう。
その任に堪えないような役職の方ならご遠慮いただく。そのくらい強い気持ちで臨まなければならないのではないでしょうか。一人の委員の背後に数多くの町民がいて意見を聞かせてくれる、そんな委員でないと困ります。
実はそのよい前例があるのです。初代サポートセンターの10人の委員です。もともとすべて公募でしたが、埋まらなかったので役場の職員が、いろいろな団体のリーダーに直接あたってサポートセンターの意義と委員の役割を丁寧に説明し、説得し、委員に応募してもらうという手続きを踏んだのです。
だから、その後の会議では自発的に活発に議論が進みました。それぞれが自覚を持って毎回の会議に臨んだのでした。もっとも、誰かさんがその芽をしっかり摘んでしまったのでしたが・・・。
では、策定委員会はどのようなものでなければならないか。
@策定委員は町民によって構成されることです。従って、県の職員はあくまで助言者としての役割を果たしてもらうべきでしょう。
A策定委員会には一定の権限と責任を付与する必要があります。言い換えると原案に責任を持つということです。具体的には、町民の意見を吸い上げ議論に反映するためにワークショップ(あるいはその部会)を主宰する権限。現地調査をし、あるいは専門家の意見を聞くことが出来る権限、さらには町民説明会に同席し、委員会での議論の内容を説明する責任などです。そのためには、必要な予算措置も行う必要があるでしょう。
B議員は、議会として町の原案を審議し修正し町民合意に高める責任がありますから、議員は策定委員に入る必要がありません。むしろ、策定委員会と議会とが定期協議をもって情報と意見の交換をすべきなのです。これも策定委員会の権限であり責務です。
ただし、議員個々が、町民なら誰でも参加できるワークショップに加わって自由な討議をすすめることは、町民の意見を汲み尽くす上でむしろ奨励すべきことであって、策定委員会とは区別すべきです。
C町の都合で策定委員会の回数を固定したり、1回2時間というように固定すべきではありません。もちろんむやみに回数を増やせばいいというものでもなく、無制限に時間を使うなどという無謀なことは言うつもりはありません。しかし、本来じっくりと分野ごとに検討を重ねなければならないときに、時間が迫っているからとか、回数が決まっているからというやり方は避けなければならないということです。この悪しき例が第5次総合計画の策定作業でした。
D策定委員会は公開とし、議事録および町や委員から提出された資料などもすみやかに公開することです。
策定委員会に関連して、町の計画立案に関わる役場スタッフの問題。
計画素案を作成する過程ではプロジェクト・チームが作られ検討を重ねてきたことは聞きましたが、実際に町民との折衝にあたり、策定委員会に対応するには現在のようなシステムでは全く不十分です。なぜなら、課題はほとんどすべての部署に及び、関連する役場の部署での検討も必要だからです。
従って、
役場としても組織横断的な数名の専門スタッフをそろえて研究・調査・立案などの作業に当たらなければならないのではないでしょうか。
議事録の公開でも、パブリック・コメントの公表でも、後手後手に回っており、迅速に情報を示して議論を促進することができないでいます。一人の係長がどんなに有能であっても、背負いきれる課題でないことは明らかです。
続いて、財政・財源問題です。
現行の計画では約6億円の地方債を発行する計画になっていますが、計画を1年先送りしたことを考え合わせれば、
基本的に借金なしに事業計画をすすめるために、新年度に直ちに特定目的基金を設定し、3〜5カ年程度の積み立て期間を設ける必要があります。また財政調整基金を特定目的に切り替えることも必要になるでしょう。公債費の上昇見込み分を他の財源として使えるようにすることは町の責任です。
また、特定目的でいえば、安曇総合病院への支出分や会染保育園の建て替え(耐震改修)への積み立ても考えておかなければなりませんから、社会資本総合整備事業の一定の縮小は避けられないはずです。
財調は3〜5億円程度でよく、あとはさまざまな課題に対応して特定目的に切り替えることが求められると私は考えます。
ここでは、今後の「計画」の進め方に限定して意見を述べました。中身については、これからの議論の過程で話し合いを深めることになるわけですから、私もまたその過程で討論に加わっていこうと考えています。
今回の署名活動は、過去には例のない取り組みであり、町民の意見をきく貴重な経験となっています。町民本位に計画を作るというのは、このような地を這うような努力の積み重ねの結果なのだいうことを参加者が体験した取り組みともなっています。
行政にとっても、今回の計画策定は、町の雰囲気を変える大きなチャンスであるはず。町民とともに将来につながる町をつくるという意気込みと体制(スタッフ、策定委員会の根本的再組織、予算など)を整えて、計画策定・実行に当たってほしいものだと願わずにはいられません。