昨日はほぼ一日、断続的に米朝首脳会談の模様を見ていました。朝鮮半島の非核化の方向を文書で確認した点で歴史的な会談といえると思うのですが、何よりも重大な意義は、つい先日まで不倶戴天の敵と見なし合っていた双方の国のリーダーが、隣り合って立ち、同じテーブルで向き合うという「話し合い」の重要性を誰の目にも明らかにしたことでしょう。
「共同声明はあいまいでがっかりだ」とか「北朝鮮ペースに乗せられた」という評論があったと聞きますが、それは誰がどのように歴史を前にすすめるのかを考えない「評論家」的ものいいでしかありません。
饒舌で中学校の英語教科書並みの表現しかないショーマンのトランプに比べて、考え抜かれ絶妙の言い回しをする金正恩の「頭の良さ」を印象づけましたね。
拉致問題についてトランプに丸投げ、アメリカ頼みの安倍政権ですから、「トランプの成果を評価する」と言ったところで、外交面での主体性はゼロ。この国の過去を総括し北挑戦と戦後補償と国交の樹立にむけての外交交渉を展開する戦略もゼロ。
これについては内政・外交に真の主体性と大きな構想力をもった勢力を草の根から伸ばしていくしかない。
今日の琉球新報には政府が辺野古基地への「土砂投入」の時期の通知を沖縄県に手渡したという
報道がありました。写真下(琉球新報)の囲まれた部分に8月17日から土砂を投入するという計画です。米軍機F15の墜落事故から間もない時期だけに沖縄県民の怒りは激しい。
翁長知事は昨日記者団に対して「看過できない事態となれば躊躇することなく(埋め立て承認の)撤回を必ず行う」と表明しています。当然です。
以前から紹介してきたように、現在護岸の囲いがほぼ完成しているのはほんの一部分。大浦湾側はマヨネーズ&豆腐状態の深い落ち込みがあって、工法変更はおろかケーソン投入の時期さえ定まらず、完成までどれだけかかるかわからないのです。当然知事の承認事項も含まれますから、政府・防衛局は、とにかく既成事実を作り上げ無力感を醸成しておいて、秋の県知事選挙で一気に基地賛成の知事を生み出そうとしているのでしょう。
名護市長選はじめいくつかの沖縄県内自治体選挙、直近の新潟知事選などで安倍政権側が見つけ出した選挙勝利の方程式があります。
@再大争点(基地問題・原発)については、態度を明確にせず、徹底した争点ずらしを行う。
A大手広告業者などをつかって、相手陣営のマイナスイメージを作り出し、ずらした争点を前面に押し出す。
B相手候補がいかに地元産業をダメにしたかを宣伝し、立て直すには中央とのパイプ(カネ)が必要であるとして経済の「うるおい」を強調する。
C業界団体、関連団体などに徹底した締め付けをし、ぐるみ選挙で期日前投票を大規模に組織する。
D若者の疎外感、期待感をうまく取り込み、政策化する。
名護市長選では、こうした相手陣営の作戦が読めずに旧態依然とした選挙に終始したことが苦い経験として語られていました。
だとすれば、知事選挙ではこれらのすべてについて相手陣営を上回る政策と戦略がもとめられることになる。単に「県民は基地を望んでいない」というだけでは勝ち目はないのです。背に腹は代えられない。原発立地の際も結局はそれでしたから。
MNEMOさんが新潟知事選挙結果について落胆しながらも「諦めずに小さな努力」を続けることが大切だと書かれていたことが印象的でした。
業者ならば、明日の運転資金をどうするのか、経営危機をどう乗り切るのかが頭を占めれば、藁をもつかむ思いでそれに結びつく誰かを考える。明日の生活もしれない若者ならば、不安定雇用を作り出した張本人がだれであり、それをどうしたらなくせるかを考えるより、どうしたら明日を乗り切れるのか、誰が雇用を少しでも安定させてくれるのかを考える。
また、見るに忍びない政治家の不誠実ぶりを見て、政治不信を募らせ、政治を変えることより、政治には何も期待しないという考えを持つ人々が増えることも理解できる。
社会変革が必要だと認める人たちが、目を向けなければならないのは、身近にいるそうした人たちに、ともに行動することで根本的にこの社会を変えることができる、政治に信頼を取り戻すことができると訴えつづけることでしょう。昔のコトバでいえば「心に灯をともす」ことなんでしょうね。