今日は木曜日、定例の作業日です。朝からバラ園の南斜面の整備作業に数人が参集しました。
バラ園に隣接した数百坪の広大な土地を町の支援金を受けてこれまで重機で開拓。今年度から来年度にかけて、とりあえずその場所を菜の花やいろんな草花のお花畑にしようと、今日は整地と種植えの作業をしたのです。
バラ園を拡張するには、数百本のバラ苗と、かなり激しい重労働をしなければなりません。残念ながら、そのお金がない。人手もない。ないないづくしでも、いったん始めた荒廃農地の有効活用の仕事ですから、背伸びしないでやれるだけのことをやろうと話し合い、とりあえず来年はきれいな花を一面に咲かせようと、ぼちぼちと作業を重ねてきたのです。おかげで、何とか半分ほどは種植えまですすめることができました。この成果は、来年春にみられることになるでしょう。それまでは本当に地味で目立たない作業が木木(黙々)と続きます。
先日ウェブ上のある記事で知ったのですが、2012年の12月に国土交通省が「国土の長期展望に向けた検討の方向性について」という注目すべき
レポートを発表しているのです。ご存じの方もいるのではないかと思いますが、ともかくまずこれをごらんあれ。トップの図表からショッキングなデータが示されています。
それは、現状のまま推移すれば2100年(今からほぼ90年後)には日本の人口は明治初期とほぼ同じ4700万人くらい(中位の予測)となり、高齢化率は40%台に突入するという見通しです。
続いて、気温は2100年には今から平均で3度上昇。とくに長野県を中心に中部地方北部(北陸・甲信越)の気温上昇が著しく、その影響もあってか積雪量は大幅に減少するとの予測。
現在池田町の山林に蔓延している松食い虫被害はかつて無い規模になるでしょうし、リンゴ栽培も不可能になる可能性すらあります。それにも増して地下水の枯渇も心配されます。現在でも水位の低下が続いているのですから。
また、東アジアの人口は、2030年にもインドが中国を抜き、日本以外の国で人口増加、または停滞状況が続くという見通しです。生産年齢人口では、日本が2050年にほぼ50%になるのに対して、アフリカが急速に増大、韓国・EUが遅れて日本と同様の推移をたどるという予測。
こうした概況の説明のあと、このレポートは「地域別人口の動向と高齢化」について推計を行っています。これ以降は、長々と解説することはやめ、我が町にとって重要だと思われる点のみいくつか列挙してみます。
@都市圏への人口集中が進む結果、過疎化が進む地域では全国的な人口減少率を上回って減少が進行する。
A現在、人が居住している地域のうち約2割の地域で無居住化が進む。その結果、所有不明な土地が増加。
B高齢人口は、地方よりも首都圏(とくに東京郊外)で増加が突出する。
C地域人口が減少し、人口密度が低下していく過程では、生鮮食料品店などの身近な≪生活利便施設≫が、徐々に撤退。2050年には買い物難民が現在の2.5倍に。また単独世帯が世帯の4割を占め、そのうちの半分は高齢者単独。
D生産年齢人口の減少率は、総人口の減少率をはるかに上回る。地域差が大きい。
E女性や高齢者の仕事時間を大幅に増やしてようやく総仕事時間は現状並みになる。
F地球温暖化の影響により、2050年には植生帯のポテンシャルが北方又は高地へ移動する可能性(長野は山形・秋田へ)。しかし、植物の移動が植生ポテンシャルの移動に追いつかないだろう。当然野生生物の生息域、繁殖数の変化が起きる。
G少子高齢化と人口減少により摂取カロリーは2050年には26〜28%減少
H現在ある国土基盤ストックの維持管理・更新費は今後とも急増し、2030年頃には現在と比べ約2倍になる
I自然エネルギーへのポテンシャルは大きい。
もちろん一つの推計ですから、指標の取り方、根拠をどこにおくかによって変わりうる要素はあるでしょう。しかし、人口、高齢化などについてはほとんど確定的でしょう。それに加えて温暖化などによる気候変動によって、さまざまな派生的問題が生じます。このレポートは今後50年、100年の未来を予測する上で重要な資料となるものです。
私が、この資料を見てすぐに考えたことが、国の政治であれ、自治体の行政であれ、せめて100年先を見て大きな見通しを持っていなければならないということです。
これを見ると、道州制などという構想がいかに非現実的、反国民的であるかがよくわかります。また、これからの自然や生態系の推移、生産年齢などを見れば、アメリカに日本の国土を売り渡すTPPがどれほどこれからの国土の荒廃を加速するかがよくわかります。いまから、日本の農林業を守る根本的な政策を推進しなければいけないこともはっきりしています。
まず、自治体の関係者の方々がこうした資料をもとに目下の行政を見直したり、また住民の側も、地域の将来にかかわる重大な問題と受けとめて真剣に議論しあうことが必要なのではないでしょうか。