今日は、いろいろ面白い場面がありましたけれど、小学校での一シーンが私としてはとても興味深かった。
考え事をしていて算数は上の空の「め以子」に、教師が「古い卵が3個、新しい卵が2個、あわせて何個になるか」という質問をするんですね。「新しい卵でオムレツをつくったらどんなにおいしいか」しか頭になかった「め以子」は即座に「足せません」と答える。まさにその通りなんです。新しい卵に古いものを混ぜてしまったら、一体どんなオムレツができあがるか想像もできないではありませんか。
これは分離量であれ連続量(外延量)であれ、量の本質に関わる問題で、演算においては当然「同質性」が前提とされなければなりません。
め以子は教師の質問に対して、体験的に「足せない」という結論を導いたのです。教師は間違いなく「3+2=5」を期待したのですから、教師自身の方が「なぜ足せないの」を理解することができなかったでしょう。これが何ともいえず痛快でしたね。
遠山啓さん(故人)は、著書「算数はこわくない」の中で、「子どもにたし算、ひき算を教えるときも、等質のものからはじめなくてはなりません。こういう目で教科書を見ると、かなり不適当なものがあることに気がつきます」と書いています。
現在の小学校では、たとえば「リンゴ3個とミカン2個を足したらいくつになるか」というような愚問はさすがに影をひそめているとは思いますが(ネット上で検索できる算数プリントにはこの手の問題が結構まだありますよ)、実は高校でも気がつかないところで、この問題が出てくることがあるのです。
たとえば三角関数で y = x + sin x という関数が登場しますが、もし変数 x が度数法(1回転を360度として角度を測る方法)であれば関数自体定義できません。なぜなら x は角度(単位は○○度)、sin x は単なる実数値(「長さ」の単位pをつけてもよい)ですから足すこと自体できないのです。
ところが弧度法(1回転=2πラジアン)を習ってはじめてこの式が意味をもちます。それでも高校では、なぜ弧度法にするとこの式が意味を持つのか(つまり x と sin x が足せるのか)については全く触れられません。もし、定義にうんとこだわる高校生がいたら、きっと悩みまくることになるでしょうね。なぜなら xは実数値(たとえば長さ)であり、sin x の x は無単位とはいえ角の大きさ(ラジアン)なのですから。長さと角の大きさをどうやって足すのか・・・と。
私自身、教師になってかなり経つまでこのことについてあまりにも当然だと思っていて深く考えたことがありませんでした。もちろん今では、高校の数学Vで三角関数の微積をやるのであれば、その原理的な意味をきちんと教えることが大事だと思うのです(上の図参照)。ま、今となっては全く無理ですけど。だから x と sin x は「足せません」で我慢するとしましょう。
さて、来月2日には第10回(今年度第6回)池田町社会資本総合整備計画策定委員会が開かれます。
病院で受け取った「ニュースレターVol.4」では次のような表現が。
それぞれの素案(町の素案、3件の修正案のこと)を基に、策定委員会では議論が進められました。その結果、地域交流センターは、図書館と一体化しアップルランド跡地に建設することに多数の委員が賛成(強調は原文のまま)しました。今後の委員会では、この方針を基本として検討を進めてまいります。
これは事務局(役場総務課)の作文によるもので、おそらく策定委員は正副会長を除いてはあずかり知らぬものでしょう。まず、町民のみなさんには、この原文にしっかり目を通してほしいと思うのです。
ニュースレターVol.4
まずこのニュースレターは今年度2回目の発行。それ自体問題ですが、それ以上に大本となる町の素案自体が示されていないのです。見たい人は町のホームページで見てくれとでもいうのでしょうか。
それなのに裏面でいきなり「修正案」の特徴が書かれているのです。何故修正案が提出され、それらの意味は何なのか。どのような議論があったのかなども一切示されていません。
この文面を受け取った町民の皆さんはどう判断するのでしょうか。判断する材料が提供されないニュースレターにどのような価値があるのでしょうか。私には全く理解ができません。
まず、前回の策定委員会の議論を知るために、終日傍聴し取材していた市民タイムス9月20日付けの記事を参考にしましょう。(掲載については了解済み)
前回の会議の後半で、町民説明会にどのように審議の経過を説明するのかを議論。何らかの意思表示によって「交流センターをアップルランド跡地に建てるのか、または現在地で建てるのか」を方向付けたいとの大方の意見を踏まえ、最終的に議長決裁で無記名投票をすることになりました。
「あくまで現在の策定委員会の意見集約をはかるため」という確認を再三にわたって行ったうえでの採決であったことは会議に出席した委員も傍聴者も新聞社も確認していることです。
万が一にも、前回多数決で交流センターをアップルランド跡地に建てることで決まったという趣旨のまとめがあったり意見があったりすれば、それは前回の確認に反するだけではなく町民の多様な意見を封殺することにも等しいことになるでしょう。まず、前回の終わりの結論を再確認することから次回の策定委員会は開始しなければなりません。
残念ながら、なぜアップルランド跡地に商業施設と併設して交流センターを建設するのかについて、十分な議論があったとはいえません。何人かの委員から「これだけ議論しているのだから、そろそろ多数決でもいいから、一本化して方向づけるべきだ」という意見が前回も出ました。ところがその論拠は、まだきわめて薄弱なのです。
前回も私はかなりの時間を割いて、問題点となるところを指摘しました。しかし、議論は一向にかみあわず、私たちの修正案についてもどこがどのように問題なのかについて全く論拠を示さないままで議論が推移しました。
私がこのように書けば、「いやそうではない、十分すぎるほど議論している」という反論があるかもしれません。まだ議事録が出されていませんから、詳しい内容はここでは見ることができませんが、発表されれば私の言っていることにそれなりの根拠があることをご理解いただけるでしょう。
そのことを踏まえて、私は現在の局面で重要だと思われるいくつかの論点を提出しておきたいと思います。
第1に、原案策定にあたってどれだけ町民に情報を知らせ、意見を聞くかが大事だということです。
この段階では、少数意見を多数決で排除し、方向を一本化することがあってはなりません。何よりも、どのような議論が行われ、何が問題となっているのかを包み隠さず町民に示し、情報を提供することがこの種の議論の大前提なのです。
私自身は、修正案の提出者の一人ですが、それを何が何でも通さなければならないなどと思っているわけではありません。町民の多くが町の素案に賛成であるならば、当然それに従うべきなのです。
しかし、議論の過程で、異なる意見があるのは当たり前であり、それだからこそ議論が深まり、結果として策定されるプランも良いものへと高まるのでしょう。
従って、第1回説明会にあたっては、町の素案を明示しつつ、これに対して複数の修正意見があることを町民に示し、それぞれの考え方の基本は何か、何が異なるのか、対立点は何かをはっきりさせることです。
第2に、財政問題について策定委員会は明確な方向を出せていません。過去の委員会で「財政は健全だという町の立場を聞いたのだからそれでいいではないか」という意見があり、前回の委員会でも副町長が、借金や積み立てを説明しながら「町の財政は健全であり、一定の借金をしながら財政運営するのは池田町のやり方だ」と説明しました。
果たしてこれでいいのでしょうか。毎年の予算・決算は議会の承認を必要とすることを引き合いに出すまでもなく、多額の出費を必要とする町の計画について町民のチェックが必要なことはいわば常識に属します。十分町の財政計画について吟味した上で、町の計画に賛意を表するのならそれはそれで1つの見解でしょう。
過去に私は、借金でも積立でも池田町には大きな問題があることを示してきました。もうひとつ、次の表をごらんください。これは財政全体に対する町の自前の財源の割合を示した「財政力指数」に関するデータです。言い換えるとどれだけ国の交付金に頼っているのかを示してもいます。
池田町の財政力指数
6,7年かけて上昇してきた財政力指数がこの3年間で急激に低下、過去の水準にもどってしまっています。この先、町税の収入が減少していけば、この先どこまで下がるのかわかりません。池田町は結局財政基盤が弱く、交付税頼みの財源になっていることがよくわかります。
財政力の強弱を踏まえず、単に借金が多いか少ないか、貯金が多いか少ないかだけをみて、これからの財政計画をたてることがいかに間違いかよくわかると思います。
この点では、財政上も無理のない借金なしの計画にすることが町民の要望にそうことにつながると私は確信します。
第3は、今回の計画の大原則に関することです。策定委員会の任務は、交流センターをはじめとする事業が何故必要なのかを端的に町民に示し、合理的で整合性のある指針を示すことでなければなりません。この点は以前にも書いたことがあるので繰り返しません。ただし、繰り返し強調しておきたいと思います。
その上で、アップルランド跡地に交流センターを建設したいとする委員は、次のことをはっきりさせるべきです。
@交流センターのおおよその規模、財政計画を示すこと。町が前回の私たちの質問に答えて示したように、全体で1330u、4億円程度。ホールは可動席なしとするのかどうか。そのほかにどのような機能を盛り込むのか。これによっては規模がいくらでも膨らむ可能性を持ちます。第2期のワークショップを進める上でも大枠を示すことは重要なのです。
A図書館の狭さをどうするのかの対策を明確に示すこと。単に交流センターとリンクするからうまくいくという程度では設計段階で大きな支障を生むからです。とりわけ現在図書館の運営にかかわる教育委員会、図書館職員はそれなりのイメージを示すことが求められます。あとで、このままでは希望する施設が入らないという理由で規模を膨らませることはあってはなりません。町の図書館建設費の見積もりが低すぎることも問題です。
B現図書館を文化財資料館にした場合、町が提示したような管理体制でいいのかどうか。しっかりした文化財政策・将来展望抜きの公共施設運営は浅原記念館と合わせて必ず財政上の負担を追わせることになるでしょう。これこそ費用対効果を見極めるべきではないのでしょうか。
これ以外にも多くの問題がありますが、少なくともこれくらいは町民の疑問に答えて返事が出来るようにしておかなければなりません。